ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

いや、舐めてた。ただのgoogle及び検索業界ヨイショ本かなあと思ってたんだけど、全く違う。この著者が前提としている世界観はgoogleの目標を更に分かりやすく翻訳した以下の言葉に集約されている。

目標とは、世界中の情報を組織化し、世界中からアクセスでき、有益なものにすること〜中略〜「検索」という言葉は使命ではなく、一つの推論・仮説である事に留意しよう。発見される必要のあるものを推測する方程式である。p364

検索業界の究極的な野望は知覚の最初の一歩を牛耳ってきた“文字”に禅譲を迫り、その玉座に就くことなんだと、深く理解できた。*1
って、妙に深刻ぶる以外にも、スタンフォード時代の逸話集、上場前後のエピソード、アイディアラボのビルグロス、そして現在や将来にわたって抱え込むであろう(そしてその一部は既に現実化しまくってる)グーグルの問題点など見所満載。アルタビスタに愛着のあった人なら、「第3章グーグル以前の検索」は涙して読めない悲哀に満ちていると言うかDECこの野郎!
ということでちょっとあり得そうな未来を知りたい人は必読。

以下はメモ。
・2004年6月マジェスティックリサーチ報告:検索の半分近くが2,3語しか使わず、20%程度は1語、6語以上は5% p43
・探索から検索への驚くべき変化:未分化のウェブを探索・発見する段階から“発見したいものがそこにあると期待してオンラインに入る”“社会のイマジネーションをとらえる”p91
・サーチエコノミー発生以前の認識:「単体のサービスとしての検索はメモリー帯域幅のように資本集約的なものだ。これに対する投資を正当化するような経済学はまた生まれてなかった」yahooのクーグル p94
マーケティングの問題点:「広告予算の半分を無駄使いしたと分かってもどっちの半分かは分からない」デパート経営の草分けジョン・ワナメーカー
googleがメディア企業としての自覚を持ったのは9・11なんじゃないか?
・今後10年間のマーケティング:「全ての広告主がデジタル化した手段を持ち、TVも含めてウェブ上で投資収益率を元にビジネスを行う」p255
・紙媒体について:紙媒体を読んでも、ネットでニュースを知った時ほどには意見を戦わせない。だって友人同僚はそれを読んでないかもしれないから。互いに共有できないものなら、わざわざ私の時間を割く価値はないと思う。ニュースの生態系の最大の過ちは対話を拒否する事にある p259
・クリック詐欺:広告予算の25〜30%をかすめとられている p275
・グーグルは世界経済にとってマーケットプレイスになろうとしている p363
・今後の検索業界の方向性:
①偏在性(全ての情報をウェブindexに統合)
②パーソナル化(完璧な回答)
③セマンティック化(タグ付け)
④時間軸(そして永遠に・・・・・)    p411
・アルタビスタ出現の感激:あなたは世界が突然あなたの足元に跪いた事に、戸の時気がついた。 p411

*1:ジャン・ペターゼン(ヤフーマーケットプレイス主任)の「ショッピングは、基本的に検索のアプリケーションと考えています」も象徴的。