ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始る

今の自分がこれを読んでどう考えたか?を記録したいと思ってずっと悶々としてんだけど、うまく言葉にならなかった。ほとんどの流れはアグリー。で俺がアクション起こすべきかなんて先の事ばっか考えてしまう。そうじゃない。失業者はらしく、明日の飯の種を考えるべきだと己を奮い起こし、現状圧倒的に足りないと思っているのがマスメディアからの視点だったらひっかかるかなあと思い、その立場でもう一度読んでみたという読書メモ。
1.隠さなければならない情報こそ価値

その性質上、そもそも共有出来ない犯罪と超解像度なエンターテイメントが編集された情報パッケージで成り立つのが今のメディア。なのでメディアのネットの取り上げ方が「その存在を脅かす恐怖の表出」ってのは言い過ぎ。*1マスメディアからすればネタにしてやってるってのが正直な感覚だと思う。もちろんそれを産み出す元凶な免許制度や波取り等の権威主義を生む制度的歪み話はあるけど、それは日本の放送メディア・ジャーナリズム論に矮小化してしまうので、避けたんだろう。

2.情報が共有されるとそのだけ価値は希薄化する。その世界ではアテンション超重要。

確かに共有化された情報の自動秩序形成によるクオリティー向上はこれからで未知だけど、ベストマッチング機能が及ぼす範囲はマスの絨毯爆撃低下と小売のウザイ均一化吹き出しPOP撲滅でしかない。自動秩序実現世界で必要になるだろうアテンションゲットってそれこそ広告代理店や小売の呼び込みとかの十八番というか古典芸能。紙媒体、屋外広告、プレミアム配布、「ねえ奥さん奥さん」みたいな高解像度なコミュニケーションが全て電子化されない限りその領域は強い。で電波経由のコミュニケーションが弱くなって、相対的に他の部分が重要になる、つまり中心が無くなった状態でハンドルする主体はどこかっていうと発注元企業しかない。これは発売記念イベントでのR30氏の「今後、メディア的なものは、いろんな企業にうめこまれていく。」って主張と同じ。

3.そういや同イベント第一部 質疑応答 (1)でCNETの渡辺氏が質問してるfordのアクセンチュアへのメディアプラン発注に関するやり取りが一番面白かった。

多分渡辺氏・R30氏は「この変化の意味ははROIが明確化/アカウンタビリティー超重要=代理店機能の見直し」ということが前提にあると思うけど、それに対して梅田氏は反応が薄くてメタな話で反論。その領域における日本の現実を分かっていてそう主張したのかどうかで結構印象が違うが、現状の話は長くなるんですっとばして私見まとめ。

・メディアのメタポジションとしてのネットって立ち位置はアグリー
・それがROI明確化アカウンタビリティー優先みたいな話は一つの幻想(なので上記梅田氏の反応はアグリー)
・結果ネットはメタポジションだけど、あんまりコントロール効かない、選手が言うこと聞いてくれなくて勝てない監督に落ち着く

と思う。だってさ、最適なマッチング機能経由の購買行動ってコモディティーがメインでしょ。そういう商品に最も必要なインナー・流通・小売へのアナウンス効果みたいなものは図れないでしょ?あと、ブランド波及効果とかどうすんのさ。昨日書いたバーガーキングの奴なんてもはや効果測定できるレベルに無いもの。

仮にウンコ測定とか廃棄物RFタグ読み取りや全商談キャプチャが実現するならまだ分かるけど、いや便器屋さんがヘルスチェックですとか言って機能付けて、日本中のホームレスが組織化されるとかはなんとなくありえない世界でもない気がしないでもないけど、なんかの拍子に好きな子のウンコ情報とかマジつらいリアル監視社会。

というか梅田氏のダブルスタンダードはなんだろう。ってのは一番の謎。エスタブリッシュ向けに「ウェブが飲み込みかねない」と半ば脅し、ウェブ向けに「半分行けばいいんじゃない」というのはどっちもがんばれとエールを送る姿勢なのか、実際に仕事で関わって変わろうとしなかったエスタブリッシュメントへの絶望が「脅し」に繋がったのか。

結局まとまり無くなったけど、テクノロジーによるメディア構造の再構築って大筋は全面的に同意で、それに社会が対応するために必要な公共とかモラルとかのベースになる思想がすげー重要。その思考実験がvalue2.0でありXMLと社会契約論な話で、それがウェブで書かれていること自体が進化なんだなあと考えた挙句梅田氏のリングで良い様に踊らされている事が自覚される。

どんなに手間だろうと、この本が呼び起こした議論をまとめて書籍化なりすることが著者の本懐を遂げる道筋なんではないだろうか?そうじゃないとニュータイプ論争みたいなグダグだになりかねん気がする。

*1:これはネットへのリップサービス?超解像度エンタテイメントってのは要するに何でそれを美しいと思うのかとか笑えると思うのかとかそういう可処分時間を傾ける価値のある、感覚を満たす情報サービスの事